高齢者の賃貸借契約

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高齢者の賃貸借契約を考える必要性について

このページのテーマは高齢者と賃貸借契約です。
超高齢社会となって今後も高齢者の割合が増えていき、他方で空き家に代表される遊休不動産は増え続けると予想されています。このような状況を背景に、不動産業界も他業種や行政との連携・協働等を通じて不動産のトータルサービスの提供を推進することが重要だとする政府の発表もあります(※)。一朝一夕にこのようなことは実現することは難しいとしても、すでに高齢者の入居支援という分野では各種の制度の創設や不動産業界と他業種の連携が始まっています。この傾向は今後ますます発展していく、発展していかざるを得ないのではないかと思います。

このサイトは物件のオーナー・管理会社の立場から、高齢者の賃貸住宅への入居を推し進めるにあたってどのような課題と対策があるかについて、法的な点からまとめることを試みたものです。私自身、日ごろは、不動産会社・不動産管理会社側の立場で、物件の買取やその周辺業務、賃貸管理にかかわる様々の法律相談に携わっています。このサイトでは、この基本的な立場は変わらないながらも、高齢者が安心して入居しその後たとえ自立した生活ができないような状態になったとしても心配しなくてもよいというような方向を目指しています。そういう観点で進めていくのが一番良いと考えるからです。

二つの理由からこのコンテンツを作ろうと思いました。
高齢者の居住環境や入居支援については、これまでに政府のレポートや関係団体のレポート、マニュアルなど、たくさんの優れた資料が公開されています。どうやって高齢者の入居者を受け入れていったらよいのかをお考えの方は、こういった文書をご覧いただくのが一番と思います。これに付け加えるべきことはありません。ただ、中には分量が相当大きいものもあって業務で多忙な最前線のご担当者にはなかなか読み切れないものもあるかもしれませんし、要点がよくまとまっていて即戦力となる資料だけれどもその背景にあるものをもう少し掘り下げてみたい、という方もおられるかもしれません。そこでこのテーマについて法律家の観点から一歩掘り下げて解説することは多少意味のあることではないかと考えました。

もう一つの理由は、私事になりますが、弁護士になりたての頃にいわゆるボス弁から聞いたことが頭に残っているのです。私が就職した事務所は銀行の事件が多くの部分を占めていました。銀行員の方がしょっちゅう相談に来られるのですが、正直なところ、「ここまで問題が大きくなる前の、これこれの時点でもっと早く相談に来ていただければよかったのに」と思うような数多くの相談と、「これはわざわざ弁護士に相談しなくても良いのではないかな」と思うような少数の相談がありました。当時のボス弁は日ごろから「銀行員たるものは法的センスが必要だ」と言っていました。法律の専門家ではない。しかし「これは法律問題ではないか」、「法律問題に発展しうる問題ではないか」と気づくセンスを習得しなければならない、という考えでした。これに気づきさえすれば後は専門家に任せればよい、しかしこれに気付かないと後で紛争になる。不動産賃貸業界も同じだと思います。その業務は民法、借地借家法、個人情報保護法、消費者契約法といったルールや規制があり、また社会の変化に対応して住宅セーフティネット制度、高齢者居住安定確保法などの業務の進化につながり得る新しい法律もどんどん作られています。この点で、高齢者と賃貸借契約について法的な観点から一歩踏み込んで解説をすることは意味があるかもしれないと考えました。

※「不動産ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」(国土交通省 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会) 詳細はこちら

鎌田法律事務所

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