高齢者の賃貸借契約

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高齢入居者との賃貸借契約の課題

高齢の入居者を迎えるについては事実上いくつかのリスクがあって、多くのオーナー・管理会社が敬遠するのも理由があると思いますが、ここでは法的なリスクについて考えてみます。

判断能力の低下による迷惑行為

入居者の判断能力が低下することによって、迷惑行為や粗暴行為などが頻発するようになるとオーナー・管理会社としては管理上の責任が問われ、他の入居者の退去、物件の価値の低下にもつながりかねません。
裁判例を見ると、確かに、迷惑行為を理由として信頼関係の破壊を認め、賃貸借契約の解除を認めたものはいくつか見られます(大声を上げる等の行為、東京地裁平成10年5月12日判決/大声を上げる、ごみを階下に捨てる、共用部に私物を置く等、東京高裁昭和61年10月28日)。しかしこのような迷惑行為は1回や2回の行為や短期間で信頼関係破壊と認められるわけではなく、実際には迷惑行為が1年、2年と長期間にわたりしかもその過程で他の入居者が退去してしまうなどの蓄積と明らかな損害が出てきてようやく法的に認定されるというのが実際です。そのため迷惑行為が始まる初期段階で解決することが望まれます。
このような行為が認知症などに原因がある場合は、原因に即した解決を目指すことが必要になります。

認知症になると解除できない危険性

家賃が滞納する原因は経済的な問題だけではありません。一人暮らしの入居者が認知症を患った場合も、家賃が支払われなくなることがあります。このような場合、どういう問題があるのか、問題を解決するためにどのようにしたらよいのか。

「家賃が滞納したのであれば契約を解除すればいい。」と思われるでしょうが、一つ問題があります。
賃貸借契約を解除するときは、解除通知を送ります(口頭で解除を伝えても法律的には有効ですが、証拠を残すため「解除通知書」を郵送するのが普通です)。
通知をした相手が認知症になっていると解除通知が無効となる可能性があります。
解除の通知は、受け取った人がその内容を理解できることが必要です。そのため認知症などのために判断能力が衰えている場合は、後々、「通知を受け取った時点で判断能力がなかったのだから解除は無効である。」とされる可能性があるのです。

解除の次には建物明渡の裁判になり、裁判に勝つと次は強制執行になります。入居者を強制的に退去させることになります。後になって、実は解除は無効であったとなると、入居者に大きな損害と迷惑をかけることになってしまいます。賃貸人としても、入居者が認知症であること気づかなかったのだろうかということが問題とされると、賃貸人・管理会社にとって信用問題にもなります。
そのため最終的に解除して建物明渡請求をするしかないとなったときに、具体的にどのような手順で有効にこれを行うかを考えることは重要です。

解除・明渡を要求しても転居先がない

賃料の不払いなどの債務不履行があれば賃貸借契約を解除して、最終的には強制執行によって明渡をしてもらうことが可能です。
しかし高齢者の場合、特に身内で協力してくれる人がいない場合などは、強制明渡となると転居先が本当にないということもあり得ます。
そのような場合、強制的に明渡をさせるのは事実上できなくなる可能性がありますし、裁判所の強制執行手続をもってしても入居者の安全上、執行手続きを続行できないという事態も考えられなくはありません。
このため高齢者の明渡については、それが合意によるものであっても、解除によるものであっても、転居先について手当をすることが必要かあるいは有効となります。

それではどのようにしたらこのような課題やリスクを克服して高齢入居者の受け入れができるのかについて考えていきたいと思います。

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